人生37カ国/地域目にして、ようやくのアフリカ上陸となった。
前評判から不安がなかった訳ではないが、訪れてみれば人々は優しく、治安や衛生に難を感じることもほぼなく、お気に入りの国の一つとなった。
夏真っ盛りの7月末に訪れたことだけが失敗で、昼間は冷房が効いているマクドナルドかKFCに籠ることになったが……。
Cairo
カイロ
Jul 2025 / Shubra El-Kheima駅付近
エジプト国鉄といえばこの機関車、ドイツ製のAA22T型である。
うまづら気味の湘南顔に深いヒサシと保護柵がいかめしい。
最近は新型機関車の導入で優等列車運用からは退いているようだが、カイロ近郊でも短距離便を中心に現役の姿を見ることができた。中国の「紅皮車」のような塗装の旧型客車も好ましい。
複々線の野良踏切、横断者や地元のガキンチョたちに護られつつ撮影。
Jul 2025 / Shubra El-Kheima駅付近
こちらはつい最近運転を開始した、スペイン・タルゴ社製の客車を用いた特急列車。
車体全体がエジプト国旗塗装となった統一編成は、かつてエジプトで名を馳せた「ターボ・トレイン」のようでもあり、優等列車としての風格に満ちている。
Jul 2025 / Shubra El-Kheima駅付近
客車のドアが開放されているのは当然として、連結面にも (おそらく無賃の) 乗客が乗り込んでいる。
あまりに不法行為が多いので、首都ラムセス駅に即座に処罰するための裁判所が設置される、というニュースを耳にしたことがあるが、本当なのだろうか。
Alexandria
アレクサンドリア
Jul 2025 / Minor Sporting駅付近
アレクサンドリアには市電が走っているが、そのうち北部を走るラムル線は専用軌道の郊外線で、日本の近畿車輛が製造した電車が活躍している。
車両の雰囲気も合わせて、どことなく広島電鉄の宮島線のようだ。
一部の編成には二階建て車両が組み込まれているのが目玉だったが、訪問時には209号車の一両のみが現役だった。一時期は全車両が運用から外れていたらしいから、これでも運が良かったとするべきだろう。
左の115号は一般的な「平屋」車だが、ヘッドライトの位置が少し低く、眠たい表情になっており可愛らしい。個人的には「平屋」でパンタグラフを高々と掲げている姿の方が好きだった。
Jul 2025 / ラムル線
「スカ色」の3両編成の電車が喧しく走り回り、頭端式の終着駅や三角ホームの分岐駅があり。売店や本屋を併設した駅も多く、人々の暮らしの息遣いを感じた。
ラムル線では、日本では喪われつつある地方私鉄の風景が、今も逞しく生きているようであった。
Jul 2025 / アレクサンドリア西部
ラムル線以外での路面電車の主役は、半世紀以上前に西ドイツで製造され、中古で流れ着いたデュワグカー。
もはやドアも方向幕も動かないが、ぼろぼろの車体に鞭打つように、今日もアレクサンドリアの砂埃の中を駆け回っている。
Jul 2025 / 国鉄アレクサンドリア駅付近
国鉄アレクサンドリア駅近くには市場があり、路面電車やミニバスが集う、ちょっとしたターミナルになっていた。
西ドイツの誇る高性能路面電車として生まれた彼らにとって、まさか自身がアフリカ大陸の地を踏み、混沌の軌道を往くことになるとは思っていなかっただろう。
日本、西ドイツ、そのほかにはハンガリーやウクライナ……世界各地から集った電車たちは、今日も照りつける太陽、吹き付ける潮風、砂埃と喧騒の中を走りつづけている。
壊れて再起不能になるその日まで……機械にとっては本望だろうか。いつかまた、その姿を再び見に訪れる時まで、彼らが元気であることを願う。