2016年の夏、ミャンマーからタイ、ベトナム、中国と抜ける東南アジア横断の旅をした。
不運にもミャンマー出国〜タイ到着のあたりで体調を崩し、ベトナム滞在中も控えめな行動しかできなかったのが心残りではある。
Ha Long
ハロン線
Sep 2016 / Yên Viên駅
ベトナム国鉄はそのほとんどがメーターゲージだが、首都ハノイ郊外から有名観光地ハロン湾のほうに向かう路線は、1435mmの標準軌で運行されていた。
有名観光地に行くといっても、観光路線ではなく (観光客はみなバスで行ってしまう)、一日一往復の行商列車が運行されているだけだった。
朝4時、真っ暗闇のハノイからタクシーでYên Viên駅に乗り付ける。
駅構内には、トリコロール・カラーの4両の客車が佇んでいた。
Sep 2016 / Kep駅
途中のKep駅では、進行方向が変わるため長時間停車する。
せっかくなので4両の客車を詳らかに見てみる。
丸屋根の2両は、旧満鉄 (南満州鉄道) の客車だ。凍てつく中国東北向けに造られたのが、今は灼熱のベトナムまで流れてきたと言うのは、まことに数奇な運命である。
切妻屋根の客車の方は、私にはよくわからない。もとより形態学的なところはどうにも苦手である。
Sep 2016 / ハロン線
切妻客車のほうは車内がロングシートでひろびろとしており、行商人たちが思い思いに寛いだり、荷物の仕分けをしたりしていた。
満鉄客車のほうは乗客はまばらで、鉄道員ばかり乗っており、どこから持ってきたのか朝食の麺が振舞われていた。私もご相伴に預かったが、朝陽に輝くベトナムの水田地帯を眺めつつ満鉄客車で頂くフォーはまさしく格別の味であり、生涯忘れられない経験となった。
運転速度はとにかく遅く、終点のハロン到着まで、実に7時間の長旅だった。
疲れてしまい、帰りは冷房付きのバスを選んだ。確か3時間ほどでハノイまで帰ってきたと思う。
その後、この国鉄ハロン線の旅客列車も休止されたと聞く。体調が良ければ、ハロン湾からの折り返しの便にも乗っていたかもしれないと思うと、やはり少し惜しい気持ちがする。