東のソ連、西のドイツに挟まれて翻弄されてきた国、ポーランド。
鉄道事情は周辺国の影響を受けながら、なおかつ同国独自の形式を数多く誕生させており、興味は尽きない。
ポーランドの鉄道車両の魅力は、なんといっても「デカ目」のヘッドライト。
愛らしい顔つきの旧型機関車や電車を追い求めて、実に3度にわたって同国を訪問した。
PKP
ポーランド国鉄
May 2019 / Pelplin駅付近
ポーランド国鉄を代表する機関車、ET22型。その製造総数は1000両をゆうに超える。
鼻筋の通った2枚窓に、おでこと腰部の大型前照灯がなんとも素晴らしい。
側面の吸気孔やC-Cの軸配置も相俟って、印象はポーランド版・EF58といったところだろうか。
近年の改造でヘッドライトが小型化されるなど原型を失う車両も多いなか、この時撮影できたET22-017号はオリジナルの形態をよく残しており、巡り会えた喜びも一入であった。
May 2019 / Łuczyce駅付近・ワルシャワ郊外
その他、ポーランド訪問中に出会えたデカ目前照灯の面々。
電車、機関車と車種は違えど、前照灯は統一されたトレードマークのようであった。
May 2019 / Piesienice駅付近
Aug 2021 / Nowa Wieś Mochy駅付近
最近ではポーランド国鉄にも新型車両の導入が著しい。デカ目の伝統はとうに去り、欧州の標準的な車両が数多く導入されている。
それでもディーゼルカーが客車を牽引する運用であったり、乗り心地の頗る悪い2軸レールバスであったりと、他の国ではなかなか見られない光景や車両が展開されているのは面白い。
Tram
路面電車
May 2019 / Poznan Tram
Sep. 2021 / Lodz Tram
各都市で活躍するトラム(路面電車)もまた、ポーランド旅の楽しみである。
まずは旧西ドイツで製造された、旧式のデュワグカーたち。
左のポズナンで撮影された903号はドイツ・フランクフルトからの譲渡車。右のウッチの1512号は、ドイツからフィンランド・ヘルシンキを経由してポーランドにやって来たという複雑な経歴の持ち主である。
Sep. 2021 / Lodz Tram
特にウッチの1519号は、かつてのヘルシンキ時代の塗装を維持したまま活躍しており、同市でも異彩を放っていた。
いかにも旧共産圏トラムといった赤と黄色の塗装も良いが、この北欧的な上品さを感じる緑とクリームの塗装もまた、齢60の老兵デュワグカーには大変似合っていたと思う。
同車はいまも保存車両としてウッチに残っているが、塗装は同市標準の赤黄に塗り替えられてしまった。
2016~2019 / Warszawa, Krakow, Poznan, Lodz, Gdansk Tram
こちらはポーランド国産のKonstal社製トラムたち。
写真の105Naシリーズは、軽快電車然とした顔つきに、側窓が大きく華奢にすら見えるスタイルが特徴的で、私は勝手にポーランドの「金魚鉢」電車と呼んでいた。
前述のデュワグはほとんど引退してしまったが、こちらのコンスタルは (やはり新型の低床車両に押されて活躍の場は狭まっているが) まだまだポーランド各地でそれぞれの地域塗装を纏って現役である。