最も多くの日本人が訪れるであろう国のひとつ、アメリカ。
鉄道の面でも、荒野を往く大陸横断鉄道や超大型蒸気機関車 "ビッグボーイ" など被写体は尽きない。
私はといえば、海外鉄道趣味をはじめて11年目、39カ国目にしてようやくこの国の土を踏むことになった。
レンタカーのハンドルを握り締め、いざ自由の国の鉄路の、無限の深みへ。
Virginia
バージニア州
Oct 2025 / Lynchburg / Northeast Regional
河川の多いアメリカ北東部は、アメリカの工業力を見せつけんばかりの美麗な橋梁の宝庫。
蒸汽撮影の合間を縫って、山路や港町に車を飛ばした。
611号蒸気機関車の保存運転をしていたGoshenからも程近い山間の街、Lynchburg。
餘部鉄橋をも思わせるトレッスル橋が、町外れの川を跨いでいる。
重連機関車がアムフリート客車を連ねて轟々と渡って行く様を、川面近くに飛ばしたドローンから激写した。
Pennsylvania
ペンシルバニア州
Oct 2025 / Pittsburgh / Mon Valley Works
2025年、日本企業による買収で話題になったUSスチール。
ピッツバーグの同社モンバレー製鉄所は、広大な専用鉄道網を擁することでも有名だ。
夜明け前の高速道路を飛ばし、製鉄所を見下ろす橋で待つこと数時間、遂に列車が現れた。
三重連の機関車とカブースによるプッシュプル運転、谺するエンジン音、これぞ求めた重厚長大なアメリカの姿!
Oct 2025 / Pittsburgh / Mon Valley Works
アメリカの車掌車「ヨ」ことカブース。
幹線の貨物列車には繋がれなくなって久しいが、USスチールの専用線ではプッシュプル運転用として現役だった。
真っ黒の貨車のなかで、ベイ・ウィンドウ付きの鮮やかな車体がよく映える。
Oct 2025 / Lancaster / Keystone Service
半世紀前、アメリカ北東回廊を爆走した高速鉄道「メトロライナー」。
電装解除こそされたものの、その車両は今もKeystone Serviceの制御車として現役。
空力学的にどうなのか?と疑問に思わずにはいられない設計はほぼそのまま、ゴテゴテの警戒塗装にメークアップして、200km/hでぶっ飛んで行くのは只々痺れた。
高速列車としては信じ難いほどに長寿であった同車両だが、2026年からはいよいよシーメンス製の新車への置換えが始まるらしい。
幼き日に図鑑で見た憧れの車両、一目見られて眼福であった。
全く余談だが、ペンシルバニア州はアルコールの販売に厳しく、スーパーやコンビニエンスではなく専門の酒屋に行かなければビールすら売ってもらえないので難儀した。
その分、珍しいビールをたくさん扱う酒屋に出会えたのは楽しかったのだが……。
いずれにせよ朝から晩まで運転続きの毎日なので、多くは飲めない。
"Five Guys" などといった本格ハンバーガーが、毎日の旅のお供であった。
Oct 2025 / Harrisburg / Rockville Bridge
サスケハナ……というと歴史の授業を思い出すが、ハリスバーグの街にはこのサスケハナ川を渡る道路橋・鉄道橋が無数にあり、どれも実に美しい。
このRockville Bridgeなどは長さ1kmを超える超大橋だが、アメリカ名物のダブルスタック貨物列車はさも当然かのように、この橋から悠々とはみ出す長さでやってくる。
地元の親子連れなど、大柄な車を川辺に停め、釣りをしながらこの橋を眺めたりしている。絵に描いたようなアメリカの暮らしが、少し羨ましく思えた。
Maryland
メリーランド州
Oct 2025 / Havre de Grace / Amtrak Susquehanna River Bridge
サスケハナ川がチェサピーク湾に注ぐまさにその河口にも、これまた素晴らしい鉄橋がある。Amtrakの北東回廊では最長の橋、Susquehanna River Bridgeである。
1km超えのデッキトラス橋で、中央部には大型船舶用の旋回部を備える。陸地から撮ろうとすると概ね逆光になるが、それがまた無骨さを際立てているようでもある。
1906年からアメリカの大動脈を支え続けてきたこの橋も、いよいよ架け替え工事が始まるらしい。
アメリカの鉄道風景など、今も将来も大きくは変わらないだろう、などと訪問前には考えていた。
しかし訪れるために調べれ見れば、「伝説」とも言えるメトロライナー電車の引退や、歴史ある橋梁の掛け替え工事など、この国の鉄道風景も刻一刻と変化し続けていることを思い知らされた。
そういった意味で、2025年というこのタイミングで訪問できたことは幸いだったのかもしれない。
さて、西海岸へはいつ行こうか……。